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pixivにおける新しいプロダクト・機能の生まれ方〜最近はボトムアップ型が増えてます

はじめまして、 pixiv Sketch でプロダクトマネージャー兼デザイナーを担当している @norio です。

今回は学生さんや社外のエンジニアの方からよく質問されるピクシブで新しいプロダクトや新機能がどのように生まれ、作られているのかを実例を交えながらご紹介します。

私は新しいプロダクトの起ち上げを担当することが多く、retime.me、pixiv国際版、BOOTHpixivFACTORYAPOLLOpixiv Sketch などの新規プロダクト開発を経験してきました。その知見を元に今回の記事を書いています。

新プロダクト・機能が生まれるパターン

ピクシブにおける新しいプロジェクトの始まり方としては下記の2つのパターンがあります。

ボトムアップ型

最近多いのがこちらのボトムアップ型。社員の発案から企画が立ち上がるパターンです。

弊社では社員が自分の考えていることや情報を共有するときにポエムを書きます。ポエムといっても実際は普通の文章ですが、新しい機能や改善案などを思いついたときにさらっと書ける場所があり、エンジニアはもちろん、デザイナーから営業、人事、そして経営層まで役職関係なしに社員全員が自分の思いの丈を綴っています。

ポエムはあまりかしこまらずに書けるのがポイントです。「記事」とか「技術文書」と言われるとしっかりとした文章を書かないといけない気がしますが、「ポエム」なら何となく気軽ですよね。

新しく開発する際にまずポエムを書いてから開発していくスタイルは「ポエム駆動開発」と呼ばれていて、これについては弊社の開発マネージャー兼アニメイトラボCTOの @bash0C7 のこちらの記事が詳しいです。

gihyo.jp

弊社の社員は自社のプロダクトに対する思いが強く、日頃から自分の考えていることを熱心に語り合う土壌がすでにありました。これはプロダクト開発において全ての社員がユーザーにとって何が大事なのかを自分で考え、デザインしたり、機能開発することを日々繰り返しているので、自然と考察力や洞察力が鍛えられているからかもしれません。

そのような背景もあり、多種多様なポエムが日々投稿されています。ポエムを読んで共感したり、面白いと思ったときに「いいね」をつけたり、コメントをすることができるので、まずはポエムを投稿して反応をもらい、これはいけそうだと思ったら本格的な企画として提案してみる、といったことができます。

弊社には、ポエム以外にも自分の考えを公表する場が多数あります。年始や社員研修で行われる「LT大会」では、ライトニング・トークという限られた短い時間でプレゼンする方式で自分の考えた企画を全社員に向けて発表することができます。その他に毎週行っているプロダクト会議というプロダクトについて話す場や社内勉強会でも発表可能です。

発案した企画が十分にやる価値がありそうだと判断されると、既存プロジェクトの開発リソースやスケジュールなどの調整を行った後、本格的にプロジェクト化し、プロダクト開発が始動します。

トップダウン型

いわゆる経営層から降りてくるパターンですが、主に代表の片桐のアイデアやビジョンが元になっているケースが多いです。例えば、自分のショップが作れるBOOTHや絵をグッズにできるpixivFACTORYは片桐の「クリエーターが自分の作品で食べていける世界をつくる」というビジョンを元に始動したプロジェクトです。

経営層からはビジョン・コンセプト・枠組みなどを提示されるので、それを具体的な形に落とし込んでいくのが私達の仕事になります。

なお「私達」とは、私のようなプロダクトの責任者であるプロダクトマネージャーからエンジニア、デザイナーなど、そのプロダクトを作り運営していくチームメンバー全員のことを指します。

ボトムアップ型・トップダウン型共通プロセス

まずはじめに私達は、作ろうとしているプロダクト・機能がどのようなユーザーのどのような問題を解決するのか、どのような新しい価値・体験を提供できるのか、その仮説を立てて検証していくことから始めます。

そして、プロトタイプの作成やユーザーテスト、インタビューなどを行い、それらを元に仕様を詰めていき、設計やデザインを行いながら開発していきます。

これら一連のプロセスに対する手法はいくつかあり、弊社でも試してきていますが、ここ数年の考え方の元になっているのはリーン・スタートアップです。現在のプロダクト開発におけるバイブルと言っても差し支え無いと思います。未読の方は一読することをオススメします。

リーン・スタートアップ

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このプロセスを進めていく過程でたくさんの発見や問題点が判明していきます。その結果、プロダクトの方向性が最初に提示されたものから大きく変化することがあります。トップダウン型においては最初のきっかけこそ経営層から提供されますが、最終的にどのようなものをつくるのかは全て私達に任されているのです。ユーザーにとって何が大事なのか、本当に届けるべき価値は何かを徹底的に追求していった結果全く違うものになる可能性があります。

弊社において言われたことをそのままやるだけという単純な仕事はありません。自分で考え、責任を持って行動することが求められます。そのため、社員それぞれに与えられている裁量は非常に多く、自由度は高いです。

実例:pixiv Sketchの場合

私が現在プロダクトマネージャーを担当しているpixiv Sketchはボトムアップ型のプロジェクトです。pixiv Sketchは、落書きや描き途中の絵などをシェアして、日々のお絵かきがより楽しめるようになるWebサービス・iOSアプリです。プロジェクトが本格始動したのは今年の1月、その後6月末にWeb版とiOS版を同時リリースしました。

sketch.pixiv.net

きっかけはユーザーインタビュー

pixiv Sketchの元になった仮説は3年以上前からあります。当時関わっていた新規プロジェクトの起ち上げ時にpixivをよく利用してくださっている作家さん数名に来社していただき、ユーザーインタビューを行いました。その中でpixivの利用実態についても回答してもらいました。

その結果判明したのは、pixivは投稿ユーザーにとってはポートフォリオサイトであること、そしてポートフォリオとしての質を保つために落書きなどの投稿を控えていることでした。pixivには自分の本気の絵だけを残したいという思いがあることを知りました。

そこで私はいくつか気になり始めました。好きな作家さんの落書きだったり、下書きや絵ができていく過程を見たいと思っているユーザーもいるのではないか? 逆に作家さんにとっても、完成までに何日もかかるような本気の作品を制作する際に、制作途中のものを見せて、反応をもらいながら描くことができたら、完成までの過程を今までよりもっと楽しめるのではないか? そんな落書きや制作途中のイラストを気軽に投稿できる場所があれば、今までとは違う新しいお絵かきの楽しみ方を提供できるのではないか? と考え始めました。

しかし、当時関わっていたプロジェクトが起ち上げ段階だったので、本格的な企画作りをするまでには至りませんでした。

再認識、ポエム化、そして本格的なプロジェクト始動へ

その後、いくつかの新規プロダクト開発を経験し、pixivFACTORYの起ち上げに着手しました。そこでもまた仮説を検証するために作家さんに対するユーザーインタビューを行いました。

pixivFACTORYは自分が描いたイラストをTシャツやトートバッグなどに印刷してオリジナルグッズを製作できるWebサービスです。そのため、ユーザーインタビューでは普段どのようにグッズをつくっているのか、制作過程や印刷業者選びなどについて質問しました。

このユーザーインタビューにおいてもpixivの利用実態について回答していただいたのですが、pixivがポートフォリオであること、落書きなどの投稿に抵抗があること、この傾向は変わっていませんでした。前回のインタビューから約2年が経過し、インタビューした作家さんのほぼ全員が一様にそう答えることに危機感を覚え、本格的な企画の立ち上げに本腰を入れることにしました。

pixivFACTORYのリリース向け開発に目処が立ったタイミングでpixiv Sketchについてのポエムを書き、社内から反応をもらいながら企画を詰めていきました。企画がほぼ固まった段階で丁度良く全社員の前でプレゼンする機会があり、そこでpixiv Sketchについてのプレゼンを行いました。プレゼンを経て、pixiv Sketchは正式なプロジェクトとして始動することになりました。

まとめ

ボトムアップ型・トップダウン型とその実例をご紹介しました。ご紹介した通り、プロダクト開発についてのかなりの部分が私達社員一人一人に委ねられています。何をどんな風に作れば良いのか? 誰も教えてくれません。自分達で自分達なりの答えを見つけ出していくしかありません。そんな産みの苦しみを味わいながら出来上がったものは自分達で作り上げたことをより実感できます。

そして、リリース後にはとってもエキサイティングなユーザーからの怒涛のフィードバックが待っています。使っていただいたユーザーの声を聴けることに何よりもやりがいを感じることができます。

そんなピクシブではとことん考えながら一緒にプロダクト作りをしてくれる仲間を絶賛募集中です!!我こそはという方はぜひこちらからエントリーしてください!お待ちしております!

recruit.pixiv.net